さよなら、愛しい人
- 作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/04/15
- メディア: 単行本
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ロング・グッドバイもそうなんだけどチャンドラーの小説は時折読ませる名文(キザな台詞?)があるもののストーリーは頭にはいってきにくい。あくまでも僕の個人的な印象だけど。そして訳者あとがきにあるようにヒロインが魅力的な脇役に比べるとちょっと印象が薄い。
この小説が出版されたのが1940年でこの年はフィッツジェラルドが亡くなった年でもある。ちなみにロング・グッドバイの出版は1953年。チャンドラー(1888-1959)とフィッツジェラルド(1896-1940)はおおざっぱにいえば同年代に生きているわけだが作家人生としてはまったく重ならない。チャンドラーの長編第1作は1939年の「大いなる眠り」なのに対してフィッツジェラルドは1920年の「楽園のこちら側」が長編第1作である。「グレート・ギャツビー」が1925年。
チャンドラーの小説を読むと原寮を思い出す。10年ぐらい前に志水辰夫、船戸与一、逢坂剛、大藪春彦、大沢在昌、馳星周といったハードボイルド小説を結構読んでいた時期があるのだが、今になってその原点ともいえるチャンドラーの小説を読んでいるのはそれだけ僕が年をとったということか。