1Q84

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

発売日に4刷68万部という空前の売り上げを記録している作品。たぶんに過去の実績によるものが多いとはいえここまで売れてしまうと著者も長編は出しにくいとおもう。今後は1Q84の続編がでないならば翻訳に注力するとおもう。

作品についてだが事前の情報なしに読んだ方がいいと思うので内容には触れない。村上春樹の作品のなかでは内容が説明しやすい部類に入るだけになおさらだ。ただ現時点で村上春樹の集大成と言えるとおもう。総合小説に近づいているし、使えるリソースをすべて使って書いたという印象がある。この作品をスケール的に超えるにはいままで使ってきたものとは別のマテリアルを持ち、かつ別次元のテクニカルが必要なのではないか。そんな作品がもしできたら(できると信じているが)それは21世紀の「カラマーゾフの兄弟」になるだろう。

もっともこの作品が村上春樹のベスト1かと言われると個人的には違うと思う。ぼくにとってのベスト1は1Q84を読み終わった今でも「ノルウェイの森」だ。「ノルウェイの森」が村上春樹にとって例外的な作品であり、おそらく今後似たような小説は書かないとしても。