夜はやさし

夜はやさし

夜はやさし

いつか村上春樹が訳すと思ったけど、違う人(1972年生まれってあったから結構若い人)が訳しましたね。

村上春樹も「器量のある小説」というタイトルで7ページの解説を書いています。

訳者あとがきやザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック (村上春樹翻訳ライブラリー)にもあるようにこの小説は2バージョンあります。
それは1934年に出したオリジナル版と1951年に批評家カウリーの協力で実現したカウリー版で、今日ではたいていカウリー版の
ほうがメインになっているようですが、今回の訳はオリジナル版をベースにしているようです。

解説やあとがきにもあるようにこの小説は完璧な作品ではないと思います。
というか構成としては破綻しているように思えます。
第ー巻でローズマリーがダイヴァー夫妻と出会って盛り上がってできた流れが第二巻でぷっつり切れてしまい、
後半のディック・ダイヴァーにはちょっと困惑してしまいます。
が、しかしそれでもなおこの小説にはある種の深みがあります。感心はするけれども感動はしない小説の逆をいっています。

時代を超えて読み継がれるのはこういう小説なのかもしれません。