XYZ

XYZというカクテルがある。レシピはラムが30cc、コアントローが15cc、レモンが15cc。

僕が所謂ショットバーに初めていって飲んだカクテルがこれだ。当時カクテルの知識なんてなくて名前だけできめた。アルコール度数は強いはずだが、そんな感じはまったくせずグレープフルーツの味がしたような気がする。
これ以上においしいXYZ、いやカクテルは10年以上たった今となっても飲んだことがない。あえていうならその時に飲んだソルクバーノとカイピリーニャくらいか。

この店は先輩につれていってもらった。仙台にあるアラベスクという店だ。マスターとママの2人だけでやっていてMAXでも10人ぐらいしか入らない。今あるかどうかはわからない。
チャージが1000円するような店は当時学生だった僕の財布にはちょっと厳しかった。もっともこの店でXYZを飲むことはその後無かった。
2回目にいったときにはマスターがいなかった。その後別のマスターになった。風の便りに聞いた話だと最初のマスターは亡くなったらしい。まだ30代だったと思う。

このXYZがきっかけで僕はショットバーでバイトしはじめた。アラベスクほど高くなく大衆的な店だった。カクテルの作り方も覚えた。ロング・グッドバイの「ギムレットには早すぎる」で有名なギムレットもつくった。ジン45cc、ライム15cc、シュガーを1さじだったな。もちろん自分でXYZを作ってみた。バイト先の先輩にも作ってもらった。
でもあの味にはまったくかなわなかった。他のショットバーで飲んでも同じだった。腕の問題もあるかもしれないが、使っていたラムが特殊だったんじゃないかという気がする。

その後だんだんカクテルも飲まなくなって今にいたっている。もしちょっとお洒落なショットバーに行ったら(行く機会があるかわからないけど)XYZのことを思い出すかもしれない。