常駐作業から考えるキャリアの築き方

随分と昔の話だけれども、当時僕が客先に常駐していて、

自社で作業しているといろいろと雑用(飲み会の幹事とかPCが紛失してないかチェックするための資産の棚卸しとか)が多いので客先に常駐しているほうが仕事に集中できていいよね

みたいに思っていたときに、偉い人がたしかこんなようなことを言っていたのを思い出す。

客先に長く常駐するとお客さんにいいように使われちゃうケースが多いんだよな。それに自社に戻っても浦島太郎状態になるのであまり長く常駐しないほうがいいんだよな。そこの社員になれるわけでもないしさ。

その時は、へー、そんなもんかー、ぐらいにしか思わなかったけどしばらく経ってその意味が段々わかるようになってきた。

案件の性質によっては自社に作業を持ち帰れずに客先で常駐作業となることはIT業界(というか受託業界?)では珍しく無いです。それはいいとして、客先に常駐するということは必然的にその現場のカルチャーに染まります。最初はそれも新鮮なので苦にならないことが多いです。一方で自社から入る情報は少なくなります。常駐しているので自社に自分の席が無い人も多いでしょう。

常駐していると自社の上司も評価しずらいです。上司自身も常駐先にいるなら話は別ですが、そうでないケースがほとんどでしょう。そうなると普段見ない部下の評価をすることになります。場合によっては評価面談のときが部下と初対面だったなんてこともあるかもしれません。まあそれは極端にせよ、普段会わない部下の評価をするのは難しいです。まあその辺を気にしてか定期的に客先を訪問したりする上司もいます。

チームで常駐している場合はまだいいです。リーダー格の人はチームを取りまとめているんだなと思われるからです。それにリーダー格の人にメンバーの話も聞けるのでメンバーの評価もまだしやすい。

しかし一人の場合は微妙です。一人分の売り上げをあげているのはわかりますが、リーダーとしての評価となると難しいでしょう。少なくとも部下を育成しているとは受け取られませんよね。

まあ一人だろうが複数人だろうがある程度長い期間(1年以上)常駐していると、その現場のやり方に慣れるし能力のある人ならキーマンになっているでしょう。キーマンになるということは単に与えられた作業をちゃんとこなせる以上の意味があります。周りからも認められて頼りにされているでしょう。場合によってはお客さんの上層部ともいい関係が築けているかもしれません。ここまでくるとその現場での仕事はやりやすいはずです。

ただここまでくると言葉が悪いですがお客さんにいいように使われちゃってる可能性があります。技術的スキルが高い人だと便利屋さん的になりがちですね。何でもその人に仕事がふられがち。まあそういう仕事をこなすことによってスキルがあがることは否定しませんが、しかしそこで身につけたスキルというのがその現場固有のものかもしれません。もちろん汎用的なスキルも身につけているでしょうが、現場固有のカスタマイズされすぎたスキル(これは調整能力だったり政治能力だったりも含みます)というのがあるはずです。それが無ければかわいがられないしキーマンになることもないはずです。

常駐先の社員でも何でも無いパートナーの人間がそこまで現場固有のスキルを身につける必要があるかというとはなはだ疑問です。そこの社員になるんだったら話は違いますが多分そうはならないでしょう。

それに社員になるんだとしてもあまりにも社内に特定なスキルを持つのも微妙だなと思います。その会社が世界的な企業でつぶれる心配が無いならそこにかけるという手もありますが、もうちょっと汎用的スキルを磨いたほうが無難かなと思います。

そういう意味で言うと昔の偉い人が言った言葉が正しかったのかなと思います。まあ自社の作業が面白いかは別問題ですがw