あとがき
村上春樹は小説にあとがきを書かない作家だ。全集をのぞくとあとがきを書いたのは単行本のノルウェイの森(赤と緑のやつ)だけのはず。
一方で、翻訳したものに関しては訳者あとがきをマメに書いている。キャッチャー・イン・ザ・ライは権利関係であとがきをつけられなかったようだが、
それも翻訳夜話2のほうに収録されている。
村上春樹は基本的に何を書かせても文章がうまい。とにかく読ませる。ジャンルが長編であれ短編であれノンフィクションであれエッセイであれうまい。
訳者あとがきもそれにもれない。そのせいか小説そのものよりもあとがきのほうが気になってしまう。
個人的に好きな訳者あとがきを3つ選べといわれれば、僕は「マイ・ロストシティー」、「グレート・ギャツビー」、「ロング・グッドバイ」
をあげる。
とくに「グレート・ギャツビー」、「ロング・グッドバイ」に関しては村上春樹の思い入れがよく伝わってくる。